看護大学生の批判的思考態度と 日常生活スキルおよびメタ認知の関連

Abstract

〔目的〕本研究目的は、 看護大学生の批判的思考態度とメタ認知および日常生活スキルの実態と関連を明らかにし、今後の教育への示唆を得ることである。 〔方法〕調査対象は、看護系大学1 ～ 4 年生431 名であり、批判的思考態度テスト、日常生活スキル尺度−大学生版、成人用メタ認知尺度を用いた無記名自記式質問紙調査を実施した。分析方法は、学年間比較のために一元配置分散分析および多重比較を行い、3 尺度の関係を検討するためにPearson の積率相関分析を行なった。 〔結果〕調査票は262 部回収した（回収率：61.0%、有効回答率：55.7%）。学年間の比較は、批判的思考態度とメタ認知尺度には有意差はなく、日常生活スキル尺度の[ 計画性] や[ 情報要約力] の項目が3、4 年生よりも、1、2 年生が有意に高く、批判的思考態度やメタ認知の得点も3、4 年生が低かった。また、批判的思考態度とメタ認知の相関分析ではすべての因子で正の相関が見られた。 〔考察〕看護大学生3、4 年生の批判的思考態度、日常生活スキル、メタ認知が低値であったことは、調査時期の課題重複や自己評価能力の向上が背景として考えられた。また、看護大学生の批判的思考態度育成のためには、自己の思考プロセスを言語化し他者に伝えるメタ認知の育成や、学生自ら設定・確認できる到達目標の設定や課題の提示とともに、これらの教育活動を支えるカリキュラムやシラバスの重要性が示唆された。